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"Gloria" Diary/グローリア日記 2004(3)

2004年11月27日に、宇都宮市内、 「栃木県総合文化センター」で 「グローリアアンサンブル&クワイアー Vol.12」 という演奏会が催されます。 こちらに演奏会概要を掲載しています。 私は毎回この演奏会に鍵盤楽器担当として参加しています。 今回採りあげる曲は、 2人のフランスの作曲家「フォーレ」(Gabriel Fauré)と「デュリュフレ」(Maurice Duruflé)のレクイエム(Requiem, Missa pro defunctis)です。 さあ、 演奏会本番までに何が起こるのか、 また、 私は何をしでかしてしまうのか?(^^;)以下をご覧ください・・・

ご注意:
1.テキスト量が膨大になってきたので、以下のように分割しました。


2004年7月11日 第2回 合唱合奏合同練習

2回目の合同練習の日は、とにかく朝からむし暑かった。練習は夕方から、ということで日中は暇だ。 私は暑さに耐えかねて、公営プールに出かけて涼んでいた。 そして、せっかくプールに来たのだからと、2000mほど気合いを入れて泳いだ。 泳いだ後には心地よい疲労感…「疲労感」って、ちょっと待てよ? この後の「練習」のことを考えているのか?ううむ、我ながら阿呆をやってしまった。 この疲労が練習に悪影響を与えなければよいのだが…等々考えながら、午後4時半に練習会場に到着した。

実はこの到着時刻が早すぎで、練習は実際には午後6時開始だったのである。 私は開始時刻を一時間勘違いしていたのだ。 おまけに、練習の前半の時間帶は「フォーレのレクイエム」で私は出番が無く暇なはずだ。時間がたっぷり余ってしまう。

「まあ、いいや。せっかく時間が余ったのだから、のんびり昼寝などして、 ときどき練習見物したりちょっかい出したりして過ごそう」

などと「お気楽」なことを目論見ながら、練習会場の設営などを手伝う。

ところが予想外の事態が発生し、上に述べた我が「お気楽」な目論見は見事に外れたのである。

予想外の事態とはこういうことだ。練習開始前、なにやら見たことない人が挨拶をしている。 話を聞くと、どうやら練習ピアニスト担当のSさんが多忙でグローリアの活動に参加できなくなった模様。 新しく来られたかたは、Sさんの代わりの練習ピアニストの人ということらしい。 ちょっと待てよ?Sさんが居なくなるということは、フォーレのオルガン担当は?話がいろいろ行われたのだが、 結局私がやることに決まったらしい。 今日の練習から早速フォーレのオルガン楽譜を相手にすることになった。 ひええ、「お昼寝の時間」が無くなったぞ(←馬鹿)。えらいこっちゃ。

…というのが「予想外の事態」なのである(爆)。

「予想外の事態」をうけて、フォーレのレクイエムのオルガンを担当した結果は…むろん完成とはほど遠いものである。さすがに「出」こそ間違えなかったものの、 随所に出現する思いがけない和音進行に対応できない。かと思うといきなり「どソロ」になってびっくりしたり、右往左往、とまどいながらおそるおそる音を出す。 初めて参加したフォーレは、まあ、ズタボロというところでした(+_+;)。

ただし一言断っておく。一旦はフォーレから手を引くことを決めた私であったが、実は内心「フォーレにも手を出したいなぁ」という思いは残っていたのだ。 「フォーレのオルガンをやってもらえませんかね?」と打診を受けたとき、「涎を垂らして飛びついた」というのが正直なところだ。実際、フォーレのレクイエム自体、いい曲なのである。 この時期にこの曲の演奏への参加を決断することは、私にとって不安はあるが、同時に「期待」も大きい。

また、練習中、あるいは練習後に楽譜を見直して気がついたのだが、フォーレのレクイエムにおけるオルガンの書法には、 バロック音楽以来の「通奏低音」の影響が残っているように感じられる。通奏低音と見なした場合には和音の解析が必須なのだが、これは私にとっておなじみの作業でもある。和音を丁寧に調べていくことが今後役に立ちそうだ。

後半はデュリュフレ。私自身はこちらはフォーレよりも馴染んでいる筈なのだが、曲全体の仕上がり具合は必ずしも良くない。音取りは確かに進捗しているようだ、が、 (あえて苦言を呈すなら)それ以上の段階に進んでいない。この点、K先生からもかなり厳しい言葉が飛んでいたが、残念ながら私も現在の状況は良いとは思っていない。K先生の指示を待つまでもなく、歌詞と楽譜を読むことで見えてくるものがたくさんあるはずだ。 自分の表現したい音樂内容を確立して、それに基づき他の人とコミュニケーションをとることが必要ではないか。

でかい口たたいてますが、実際には「楽譜から自分の演奏法を確立して練習に臨んでいる」という人は、この団にはたくさん居ます。はっきり言ってこの団体のレベルは高いと思ってます。私も練習に食らいつくのには毎回必死。 もとより上の文章も半分以上「自戒」。私もまだまだ精進が必要です。皆さんも一緒にがんばりましょう(^^;)。


2004年8月22日 合唱合奏合同練習-フォーレ特練に寄せての雑感

暑さとお盆の徹夜おどり疲れで(馬鹿)8月1日の合唱合奏合同練習のレポートを忘れました。ご容赦を。

さて、今回の合同練習は、全部フォーレのレクイエムに充当された。今まで、合同練習は「フォーレ2時間・デュリュフレ2時間」という具合であったが、どうも一曲に集中できない、という感覚があった。しかし、 今回のフォーレのみの練習で、いままだ曖昧だった強化すべき点が顕わになった。有意義な経験だったように思う。

で、強化すべき点とはどこか、まず、"Domine Jesu Christe"の第7小節目以降、アルトとテノールの間で展開されるカノン。

['Domine Jesu Christe' in Fauré's Requiem(1) (Domine_Jesu_F01gif, 14.6KB)] ['Domine Jesu Christe' in Fauré's Requiem(2) (Domine_Jesu_F02gif, 12.6KB)]

これのテノールは難しい。アルトとほとんど同じ音域で推移する。テノールにとっては比較的高い音域なのだ。ところがアルトと同種の音色が求められる。"pianissimo"とか、"dolcissimo"とか、テノールのこの音域では決して易しくはない発想記号だ。しかもア・カペラ。音程に気を遣うのも並大抵の技ではあるまい。この部分、大きな課題として今後の練習に尾を引くかも(+_+;)。

もう1つの「難関」は、"Agnus Dei"の47小節以降。

['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(1) (Agnus_Dei_F01.gif, 22.1KB)] ['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(2) (Agnus_Dei_F02.gif, 23.3KB)] ['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(3) (Agnus_Dei_F03.gif, 23.7KB)]

なにやら臨時記号が錯綜して、音譜が読みにくいことこの上ない。実はこの楽譜にはエンハーモニック(enharmonic,異名同音)記譜が用いられ、しかもその切り替え箇所がパートによって様々なのでよけい混乱するのだ。

ここの和声を調べてみる。第47小節はAs-dur(変イ長調)の主和音であり、第53-54小節にもAs-durのカデンツ(終止形)がある。また、第59-60小節の和音はAs-durの擬終止(V→VI)だ。そこでここの主要調性はAs-dur(変イ長調)と判断し、フラット4つの調号を付け、さらに異名同音はすべてフラット系の音符に書き直すと、以下のような和音進行になる。

['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(4) (Agnus_Dei_F04.gif, 4.94KB)] ['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(5) (Agnus_Dei_F05.gif, 4.89KB)] ['Agnus Dei' in Fauré's Requiem(6) (Agnus_Dei_F06.gif, 5.06KB)]

ダブルフラットなどが多少混ざってしまったが、和音進行を把握するにはむしろ都合が良い。調はおよそAs-dur(変イ長調)とas-moll(変イ短調)の間を行き来しており、そこに真性反復進行(chromatic sequence)が絡んでいる。そしてこの真性反復進行、ほとんどすべてAs-durの近親転調として解釈できるものばかりだ。たとえば第50小節は、ずいぶんAs-durから離れているようだが、(更に楽譜上はシャープ系で書かれており、E-dur(ホ長調)に見える)よく見るとas-moll(変イ短調)のナポリ六度の和音だ。また、59-60小節の進行は、それまでの真性反復進行からは外れており、幾分「無理矢理継ぎ合わせた」ような印象も感じられる。

こういう和音進行は、実際に鍵盤を押さえてみるのが理解する早道で、鍵盤担当の私はある意味で「得」をしているのかもしれない。もっともオルガンとてすべて順調というわけではなく、"Domine Jesu Christe"の54小節のソロなどは結構難儀している。ピアノやチェンバロと異なり、指を鍵盤から離すときにも大変神経を使う。そうしないと一音一音がぶつ切れになってしまうのだ。

['Domine Jesu Christe'  in Fauré's Requiem(4) (Domine_Jesu_F03.gif, 17.6KB)]


2004年9月12日 合唱合奏合同練習-デュリュフレ特練

さて、今回の練習は、前回のフォーレのみの練習に続いて、デュリュフレのみの練習である。デュリュフレを合唱合奏合同で全曲通すのは今回が初めてだ。

何しろデュリュフレを合同練習で行うのは5週間ぶり。練習開始直後の状況はボロボロだ。皆、曲を忘れてしまったのではないか?と思わせるほどの悲惨な状況。(無論私も例外ではない) 概して、テンポのノリが良くない。"Sanctus"では3/4~4/4の切り替えで躊躇してしまうし、"Lux æternaでは、変拍子やフェルマータに惑わされて拍の感覚が無くなってしまう。

一通り通した後で若干の休憩を挟み、再度最初から通す。今度は「良い」。1回通した後には調子が復活するのはこの団の特徴だ。私も否応なしに刺激を受ける。

ただ、長大な"Libera me"については、まだまだ発展途上だ。ダイナミック、曲想の変化などの点から見て、この"Libera me"と、同じく長大な"Domine Jesu Christe"、この2曲についてはまだつっこみが足りない。さらなる読譜を続けよう。

練習が終わってK先生曰(のたま)はく---

「この曲は、グレゴリオ聖歌をもとにしています。グレゴリオ聖歌はこの曲のあちらこちらに入り込んでます。今の皆さんは拍子の通りに音を出すところまでは来ていますが、今後はこれをグレゴリオ聖歌の『流れ』に如何に載せていくか、これが課題です。今後はこれを意識していきましょう」

御意。ただ、これを実行するためには、実際にグレゴリオ聖歌に触れないことにはどうしようもない。私の番外編とて1つの手がかりにすぎぬ。是非皆さんには グレゴリオ聖歌「レクイエム」の原曲を聴いていただきたい。デュリュフレのレクイエムの中にグレゴリオ聖歌の抑揚が如何に巧みに組み込まれているかを知ることが、この曲を演奏する上で1つのキーになる。

今回は初めて終曲"In Paradisum"も練習したのだが、オルガン担当としては、この楽章に触れないわけにはいかない。この楽章の後半で、オルガンは以下の旋律を演奏するのだが、

[The Organ part of 'In Paradisum' in Duruflé's Requiem (In_Paradisum_D_org.gif, 11.5KB)]

これを以下のグレゴリオ聖歌("In Paradisum"後半部分)

['In Paradisum' in Gregorian Chant Requiem (In_Paradisum_G01.gif, 2.11KB)]

と見比べてもらえれば、明らかにデュリュフレはグレゴリオ聖歌をほぼそのまま用いていることが分かる。そして、オルガンのこの旋律は以下のような編成の中で登場する。

['In Paradisum' in Duruflé's Requiem (In_Paradisum_D01.gif, 17.9KB)] ['In Paradisum' in Duruflé's Requiem (In_Paradisum_D02.gif, 18.3KB)]

合唱はレクイエムの歌詞を歌っているものの、旋律自体はオルガンにあるのだ。以前見た"Domine Jesu Chrisute"等のように、歌詞を担当するパートと旋律を担当するパートとが完全に分離している。 そして、合唱、管弦楽がエーテルのように和音を充満させる中で、オルガンの旋律が一本の芯線のように入ってくる。オルガンは完全に「主役」扱いだ。これはカッコイイ(*^^*)。涎が垂れそうです(←馬鹿)

なお、この"In Paradisum"、グレゴリオ聖歌をオルガンに移植する際に行われている旋律の微妙な修正、およびバックグラウンドの和声付けは、デュリュフレのグレゴリオ聖歌編曲の巧みさを示すものとして、注目に値する。

本日は演奏会宣伝用のポスターとチラシが完成し、団員に配布された。徐々に演奏会本番への雰囲気が盛り上がってくる。「グローリア」は、毎年、本番が接近するにつれて加速度的にレベルが上がる傾向がある(?)が、今年はどうだろうか?


2004年11月23日 すべての練習が終わって…

「グローリア」の今年の練習は、残るところ本番前日のステージリハーサルだけとなった。 「曲の把握」「演奏内容の向上」を主目的とした練習は既に全日程が終了している。

さて、私が9月以来、グローリア日記の執筆を止めていたのには、実は理由があった。 今年の「グローリア」は練習の上達具合がどうにも遅かったのだ。 率直に言って、合唱、特に女声の仕上がり具合は、一時期、耳を覆いたくなるほどであった。

指揮のK先生からは、

「どうしようもない。もう一度、やり直してください」

などと言われたこともあったし、トップの人から

「日頃、全然練習せず、日曜日の合同練習だけで済まそうとしている人が大勢居るんだよ」

とこぼされたこともあった。とにかくかなり「悲惨」な状況だったのだ。 本番間近な時点でこんな事を書くと団の「士気」にかかわるので、書くのを控えていたという次第(^^;)。

前々回(11/7)、前回(11/14)の合同練習で、なんとかこの欠点が消滅した。前回(11/14)の練習でK先生が発する言葉は

「すばらしい」

「もう満足しちゃいました。今日はもう練習止めちゃいましょう(笑)」

という言葉ばかり。よくもまあ一ヶ月弱でここまで来たものだ。合唱と同期をとるオルガン奏者の私がとても良い気分で演奏できたことも付記しておく。

ひょっとすると、K先生の言葉は、演奏会本番を直前に控えた我々の士気を落とさないための「お世辞」だったのではないか? という疑念が頭をよぎったりするのだが(爆)、たとえそうであっても、音楽の内容が向上したことは事実だろう。内面にある種の「確信」に似たものを持って、演奏会に臨むことが出来そうだ。


2004年11月26日 前日のステージリハーサル

本日は夕方から本番と同じステージ上で、ほぼ全員が揃ってリハーサル。私は何と職場から作業着で直行だ(笑)。オルガンの前に座っていると、皆から「調律師か、補修作業しているオッサンみたい」と冷やかされてしまった(^^;)。

私が演奏するオルガンも本番と同じ樂器だ。いやあ、やっぱり本物のパイプオルガンはいいなぁ。音色を作成するのが楽しい。

しかし、私、最初のうちは、普段経験していない音色や音響にとまどってしまったせいか、落ちまくり、ずれまくり。2回ほどやり直して、漸く立ち直った。

慣れない環境や音響にとまどったのは私だけではないようだ。指揮者から発せられる指示が伝わって音樂に反映されるまでにわずかなタイムラグを感じる。会場の環境に「呑のまれてしまった人」が少なくないようだ。明日直前リハーサルは、会場の雰囲気に呑まれない体勢を確立するが課題となった。この状態で本日のステージリハーサルは終了。いやあ疲れたぜ。今日はさっさと寢よう・・・って、今、何時?(爆)


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